ファッションのプロが断言する「定番」の真価と慧眼 - もう迷わない、長く愛せる一着を【WWS特別号】
- baseimayoshi
- 5 日前
- 読了時間: 6分
更新日:3 日前
『Weekly Weather Style (WWS)』、今週は特別号。
いつもは天気とファッションを繋ぐ情報がメインですが、今回は少し趣向を変え、「定番」というテーマについて、私自身の経験も交え、深く掘り下げていきます。
目まぐるしく変わるトレンド、情報過多の現代。
「結局、何を着ればいいのか」
「ファッションに振り回されるのは疲れた」
そう感じている読者も少なくないのではないでしょうか。
そんな時代だからこそ、我々に揺るぎない安心感と、自分らしさの「軸」を与えてくれるのが、長く愛せる「定番」アイテムの存在。
今回は、長年ファッション業界に身を置き、国内外の様々なブランド(きらびやかなラグジュアリーメゾンの舞台裏も見てきた)を渡り歩いたプロの視点から、定番の本当の魅力と、あなただけの「マイ定番」を見抜くためのヒントを提示します。
この記事が、諸氏のこれからの服選びを、より本質的で、豊かなものにする一助となれば幸いです。
◆「定番」=「無難」にあらず!その本質的価値とは?
「定番アイテム」と聞けば、「無難」「退屈」といった言葉を連想する向きもあるやもしれない。
だが、それは大きな誤解だ。長く愛され続ける定番には、必ず揺るがぬ理由が存在する。
卓越した着回し力: コーディネートの骨格となり、多様なアイテムとの調和を可能にする。
時代を超える魅力: 一過性の流行とは無縁。長く愛用できることこそ、真の経済性と言えるだろう。
絶対的な安心感: 「何を着るべきか」という迷いが生じた際の、信頼できる拠り所。
個性を際立たせる基盤: 定番を土台に、小物や着こなしで個性を加える。まさにスタイルの「本丸」だ。
裏付けされた品質: 永く使われるものは、素材や作り込みの良さにも理由があるものだ。
定番とは、守りの一手などではない。むしろ、自分らしいスタイルを構築するための強固な「礎」であり、個性を表現するための「白紙のキャンバス」なのである。
◆プロの慧眼!後悔なき「定番選び」3つの鉄則
では、どうすれば「長く愛せる、本物の定番」を見抜けるのか?
私も過去、華やかなラグジュアリーの世界から質実剛健なワークウェアまで、数多の製品に触れてきましたが、結果として長く手元に残る定番には明確な共通点があります。
私が鉄則とする3つの視点を授けようと思います。
鉄則①「素材と作り」への審美眼を磨け: 永く使うことを前提とするなら、品質への妥協は許されない。デザインの魅力に目を奪われる前に、生地の質感等、細部にこそ真価は宿る。特に、肌に直接触れるTシャツやシャツ、繰り返し酷使されるパンツ類は、素材と作りの良し悪しが、着心地と寿命を決定づける。どんなにデザインが優れていても、数回の着用で形を失うようなものはいずれ着なくなる。
鉄則② 自身の身体と対話し、「真のフィット」を見抜け: 同じ「定番」と呼ばれるアイテムでも、ブランドや時代背景によって、そのシルエットやディテールは千差万別だ。定番の型だからといって、万人に似合うわけではない。自身の身体的特徴(骨格、肉付き、手足の長さなど)や、既存のワードローブとの調和、そして何よりも「鏡に映る姿への納得感」という直感を信じるべきだ。試着という行為は、単なるサイズ確認ではなく、モノとの対話である。これを疎かにする者に、本物を見抜く資格はない。
鉄則③ そのモノが紡ぐ「物語」に耳を傾けよ: なぜそのアイテムは生まれたのか?いかなる歴史を経て、定番という名の王座に上り詰めたのか? アイテムの背景にある物語(ストーリー)を理解することで、それは単なる「物体」から、特別な意味を持つ「存在」へと昇華。少しの探求心を持つだけで、定番アイテムとの関係性は、より深く、味わい深いものになるでしょう。
◆私的「マイ定番」の探求と育成論 〜私の愛用品を例に〜
「プロの視点は理解したが、具体的にどう探せばいいのか?」という声が聞こえてきそう。
ここで、私自身の「マイ定番」と、それが定番たる所以を少し開陳ていきます。
ラグジュアリーなアイテムも数多く見てきた私が、なぜこれらのベーシックな定番品に回帰し、日々愛用するのか。Appleのスティーブジョブズが毎日同じ服を着ていたように、私自身も基本同じ服しか着ないので日々のアイテムを紹介していきます。
黒のロンT(HEAVY WEIGHT COLLECTIONS & UNIQLO U 各4枚)
あらゆる服を着尽くしたと言っても過言ではない私が、最終的に行き着いたのが、ベーシックウェア。特に黒のロンTは、私の日常における一種のユニフォームと言える。HEAVY WEIGHT COLLECTIONSのものは、そのサイジングの妙。一枚で着用した際のシルエットの完成度は、他の追随を許さない。対してUNIQLO Uは、繰り返しの洗濯にも屈しない生地のオンス(厚み)の絶妙さが決め手だ。デザイナーズTシャツの華やかさも知ってはいるが、日々の過酷な使用に耐え、かつ身体に馴染むのは、案外こういう実直な一枚だったりする。「これしかない」と確信できるものに出会えたなら、複数枚ストックし、ローテーションで着倒す。それが私の流儀だ。諸氏にとって「最高のベーシックTシャツ」の条件とは何か?一度自問してみてほしい。
HEAVYWEIGHT COLLECTIONS(ヘビーウェイトコレクションズ)通販|BEAMS T(ビームスT)|BEAMS (現在ロンTは品切れ中)
adidas Ultraboost (2足)
スニーカー選びにおいて、私がデザイン以上に優先するのが「機能性」、とりわけ「歩行性能」だ。どんなに美しい靴であろうと、足が疲弊してしまっては意味をなさない。その点、UltraboostのBOOSTフォームがもたらすバネのような推進力と疲労軽減効果は、私にとって絶対的な価値を持つ。もちろん、黒を選べば見た目も十分にスマートで、多様なスタイルに対応可能だ。高価な革靴の魅力も否定はしないが、日々の活動を支える「快適さ」こそが、現代における真の贅沢ではないだろうか。見た目だけでなく「機能」という基準で定番を選んでみる。それもまた一興だろう。
Supreme スウェットパンツ (黒 1枚): 意外に思うかもしれないが、Supremeのスウェットパンツも私の定番ワードローブの重要な構成要素だ。理由は、シンプルなデザインと、そして何よりもスニーカーとの抜群の相性にある。足元のスタイリングに重きを置く私にとって、スニーカーの魅力を最大限に引き立てるボトムスは不可欠。ラグジュアリーブランドのリラックスウェアも素晴らしいが、リアルな日常でのヘビーローテーションと、自身のスタイルとの親和性を突き詰めると、これに落ち着いた。「楽だが、己のスタイルを確立する」、そんな基準で定番を選んでみるのも良い。
これらの例から分かるように、「マイ定番」とは、必ずしも高価なものや、世間で誰もが認めるブランド品である必要はない。
重要なのは、自身のライフスタイルや価値観に深く根差しているか、真の心地よさを提供してくれるか、そして永く愛し続けたいと心から思えるかどうか。
試行錯誤を繰り返し、時には失敗もしながら、少しずつ見つけ出していくもの。
そして見出したならば、適切な手入れを施し、時を経ることで深まる味わいを「育てる」。
それこそが、定番と永く、豊かに付き合う極意と言えるでしょう。
◆まとめ:定番という名の「羅針盤」を手に
今回の特別号、いかがだったでしょうか。
情報とモノが氾濫する現代において、「定番」と呼ばれるアイテムが持つ普遍的価値や、自分だけの「マイ定番」を見出すことの意義は、ますます大きくなっているように思います。
定番とは、日々の装いを支えるだけでなく、迷った時に立ち返るべき原点であり、自分らしさという航路を照らす「羅針盤」のような存在にもなり得えます。
トレンドの喧騒に疲れた時こそ、自身のワードローブにある「定番」と静かに向き合い、そしてこれから永く付き合える「未来の定番」を探す旅に出る、絶好の機会ではないだろうか。
きっと、ファッションがより深く、より愛おしいものになるはず。
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